当会が今年1月に世田谷区議会に提出した陳情書。

この陳情を元に、4月25日に区議会・都市整備委員会で審議が行われ

「このような建築物を今後は作らせないために、条例を制定する」

ということが全会一致で決まりました。

 

世田谷区議会のHPにて議事録を読むことが出来ます。

http://kugi.city.setagaya.tokyo.jp/voices/

都市整備常任委員会(平成18年4月25日)を検索してください。

 

 

(仮称)松原6丁目マンション計画』建設反対に関する陳情

 

世田谷区区議会議長 

 

<対象マンションの概要>

場所:世田谷区松原6-20-13 用途地域:第1種低層住居専用地域  用途:共同住宅

敷地面積:1844.22? 建築面積:1083.02? 延床面積:4437.22? 高さ:11.98m

階数:地上4階地下1階  住戸個数:41戸  駐車台数:26台

事業主:三菱地所株式会社・新日石不動産株式会社

設計者・施工者:株式会社NIPPOコーポレーション・株式会社間組

 

世田谷区の『第1種低層住居専用地域』において『大規模空掘り(ドライエリア)による大規模地下住戸販売』の首題のマンションが計画されていますが、本計画は立法の精神に鑑み違法の恐れもあり、建設の変更を要請します。

世田谷区の『第1種低層住居専用地域』に居住する者は、閑静で緑豊かな環境を享受し、そこに住むことに誇りを持ち、従って、この環境を末永く維持してゆかなければならないと考えています。本計画はこの『閑静な住宅街』『緑豊かな環境』という世田谷区のイメージを損なう計画です。本計画をきっかけに区内『第1種低層住居専用地域』の大規模敷地に同様の計画が次々と実施されることも危惧いたします。

議会及び行政に於かれましては『販売戸数をとにかく増やしたいという本計画の本質』と『緩和条項の本来の趣旨』を十分に議論いただき、区の住環境行政の将来に禍根を残すことのないようなご判断、ご指導をお願いします。

また、景観条例の制定などに見られますように、環境に対する住民及び自治体の関心や考え方が大きく変わっています。このような時代の流れを鋭敏に感じ取るような区の行政を要請いたします。反対の事由は概ね下記の通りです。

 

1.『第1種低層住居専用地域』は低密度低層の住宅として居住するのに最もふさわしい地域であり、この用途地域には容積率150%、高さ10mh以下の建物しか建たないと理解している住民が大半であります。

2.その場合は3階建ての2〜30戸のマンションとなり、そのような規模では周辺住民間の紛争は聞き及んでいません。本計画はそれぞれ趣旨の異なる二つの緩和条項等を組み合わせた結果、地上4階地下1階の40戸あまりの計画となっています。

3.第1の緩和条項は「建築基準法52条3項の地下階の延床面積不算入」です。地下に大きな空掘り(ドライエリア)をすることにより、地下階を単独の住戸にして無理矢理に販売戸数を増やす計画です

4.大規模な空掘りにより周辺空地の自然が破壊され、本来緑化されるべき面積が大幅に減少します。地中の環境も心配されます。古くから住んでいる方の守り神的存在である半田塚の樹木が枯れることも懸念されます。

5.販売戸数が増加することにより環境負荷(交通、騒音、ごみなど)が増大します。

6.この地下面積不参入の緩和条項は地下をプレイルームや倉庫に利用して矮小な日本の居住環境を改善しようとする趣旨のものであり、販売戸数の増加を目的としたものではありません

7.第2の緩和条項は「建築基準法55条第2項の高さの制限緩和」です。周辺空地を確保することにより建物高さを10mhから12mhに緩和することができます。これは区の認定事項であります。この緩和条項単独ではマンション住戸が増加することはありませんが、周辺空地を空けることにより前項の空掘りが容易になり、結果的に販売住戸を増加させることに寄与しています

8.この緩和条項には『良好な住居の環境を害する恐れはないと認める』場合と明確に規定されているのにもかかわらず、区は役所で作った緩和認定基準に合っているということだけで認可を降ろし、この緩和によって環境負荷が増加することや自然環境が破壊されることについて何らの検討も配慮もしていません

9.環境に関しては自治体が独自の政策を講じたり、地元のそれぞれの環境条件を尊重するような動きが顕著になるなかで、自ら画一的な規準を作りそれに縛られて行政を行うのは時代遅れといわざるを得ません。時代遅れの緩和認定基準を見直すべきであります。

10.       本敷地に戸建の住戸を計画したならば10〜15戸規模の宅地となります。マンションにすることで既に相当の居住密度(環境負荷)の増加となります。

11.       近傍の同規模の敷地で、用途地域が『第1種住居地域(容積率200%)』のマンション計画が、本計画と同じような容積規模です。用途地域が異なる意味がありません

12.       本計画が順法か違法かという論議以前に、『第1種低層住居専用地域』に居住する人の多くは、本計画が直感的に不適切だと感じています。世田谷区の『第1種低層住居専用地域はどのようにあるべきか』を区民を巻込んで本格的に議論していただきたい。

13.       なお、「建築基準法55条第2項の高さの制限緩和」の区の認可についても下記のような不備があります。

     周辺住民への説明が認可時点で終わっていない。三菱地所も説明不備を認めている。

     説明者(株式会社ラン)は事業者でも設計者でも施工者でもない。正式の代理人とも言われていない単なる連絡者が説明に来ている。この説明は手続き上有効ではない。

     一流企業である三菱地所、新日石不動産が汚れ役を第3者に任せて、直接住民の声を聞こうという姿勢がない。社会的責任を果たしていない。

     姉歯問題で露呈しているように、公的資格者(1級建築士)が事業者(発注者)の意向に逆らえない状況があり、本件においても設計者の社会的役割を期待することができない。これに代わるのが区の行政であることが指摘されているなかで、あまりに安直に認可を出している。

     区長宛に要望書を出しているが区長に届いているか認可時点で不明確。担当者の回答もあいまいである。区長の回答を要望したが工藤課長の極めて内容空疎な回答が届いただけである。

     要望書提出にあたり、工藤課長は姉歯問題で忙しく「時間がとれず申し訳ない」と言い残して立ち話の挨拶のみであった。その後当方の意見を聞く機会を持たないまま、年末にあわただしく且つ一方的に認可を下ろした。何か背景があると疑われても仕方がないような対応である。

     事業者の回答が2006年始に出されるとの連絡を受けて、結論が出るまで認可を待つように再三申し出ているにもかかわらず区は認可を出している。区は区民の味方なのか事業者の味方なのか不信感が募る。

14.       解体工事に当たり振動騒音の被害が著しく、本件が大規模な地下のある建物工事になった場合はその被害がさらに大きくなります。本来はこのような大規模工事そのものがふさわしくない地域が『第1種低層住居専用地域』に指定されているのです